【介護認定調査】調査の流れや項目・ポイントを分かりやすく解説!

【実例】仕事をしながら介護

 

【介護認定調査】調査の流れや項目・ポイントを分かりやすく解説!

介護認定調査は「聞き取り調査」のことで、要介護度を判定するための介護の重要なカギとなります。そして、介護保険を使うためには必ず必要なこと。この介護認定調査では、対象になる高齢者が日常生活を送るうえで支援の必要性を評価させていただきます。その結果に基づいて要介護度が判定されます。介護認定調査の重要なポイントをまとめております。

 

介護認定調査は、要介護度の判定に大きな影響を与える重要な調査です。
介護認定調査では、「どんな人が来るの?」「何を聞かれるの?」「何を調べらられるの?」などと分らないのでソワソワしてしまう人も多いです。

今回の記事は、介護認定調査の調査項目や要介護認定までの流れ、調査の当日に注意点などを紹介します。介護認定調査について理解することで、安心して調査を受けられるようになります。また、介護認定調査について詳しく知りたい方はもちろん、すでに介護認定調査を受けることが決まっている方も、ぜひ参考にしてください。

介護認定調査の概要と流れ

介護認定調査(聞き取り調査)は、以下の流れで行われます。

  1. 要介護認定の申請書提出(市区町村)
  2. 訪問日時の連絡(認定調査員より)
  3. 介護認定調査員の訪問(当日へ)

要介護認定を申請すると、しばらくして介護認定調査の訪問日時について担当認定調査員から連絡があります。調査日当日は、介護申請の依頼のあったご自宅に訪問させていただきます。本人やご家族と面接しながら聞き取り調査が行われ、30分から1時間程度で終わります。

 

介護認定調査当日の“ポント”と“注意点”

介護認定調査で調査員の質問に答えるだけでは適正な認定結果が得られないこともあります。
当日、介護認定調査を受ける受け答え方次第で判定が大きく変わってしまう可能性もあります。

介護認定調査の当日に注意するポイントは次の3つです。

  1. 現状をそのまま伝えましょう
  2. 家族も立ち会いご遠慮なく
  3. 不安や心配なことも伝える

以下で詳しく確認していきましょう。

現状をそのまま伝えましょう

調査員からの基本的な質問は、「出来るか?」「出来ないか?」が基本になっています。その質問に対して「YES」か「NO」です。しかし、そこで認定調査員の経験値の差がでてしまうこともあるので、正確な認定結果につながらないことがあります。

介護保険は介護度によって介護サービスが利用できるサービスの上限があるので、そのため、本当に必要で適切な要介護認定を受けられなくなったりした場合、望んでいる介護サービスが利用できないなどの支障がでて十分なサービスを受けられない可能性があります。

調査時間が30分から1時間程度なので、認定調査員にそのまま現状を伝えるためには、具体的なエピソード、行動や言動などを伝えてください。本人を目の前にして言いづらいことはメモで渡してください。

家族も立ち会いご遠慮なく

当日は本人のことをよく知る家族や身近な人が立ち会いましょう。
ご自宅で本人のみで介護認定調査を受けられると、現状の状態よりも軽めに認定されてしまうこともあります。

例えば、人の本質は“できるだけしっかりしているところを見せたい”という想いがあります。特に高齢者はその傾向が強いので、元からできなことも「できる」と答えてしまうことが多々あります。
認知症の方では正確な状況を伝えられない場合もあるでしょう。
認定調査員も室内を見れば、おおよその生活状態はわかりますが、正しい情報を伝えるためにも、認定調査の時には、立ち会うようにしましょう。

不安や心配なことを伝えましょう

現状にあった要介護認定を受けるためには、本人もご家族も不安や心配なこと、介護に対して困ることや大変なことを率直伝えてください。問題ありません。
逆にその内容は、特記事項に記載させていただきます。要介護度を審査する際に大きな判断材料の一つとなります。

「特記事項」は要介護度を判定する上でとても重要なのです。

 

介護認定調査の内容

介護認定調査においては、「基本調査」「概況調査」を調査します。

そして、基本調査基は7項目、調査対象者の高齢者の身体的状況と精神的な状態をチェックし、詳しく確認して特記事項に書き落とします。
概況調査では利用中のサービスの状況、ご自宅での生活状況や環境、ご家族の状況などを確認していきます。ときに本人にとっては答えにくいことがら(排便排尿など)も聞き取りします。

それでは、基本調査1から6について見ていきましょう。
(7項目は1から6項目を聞き取って認定調査員が判断するパートなので7項目は説明していません)

1.身体機能・起居動作

高齢者が生活していく上で基本となる日常の生活動作について確認します。
腕や足をあげたり、実際の動作を確認します。尚、痛さを伴う場合や危険を伴う場合は中止し評価をします。

{調査項目}

  • 麻痺があるかの確認
  • 関節を動かせる範囲
  • 寝返り、起き上がりができるのか
  • 座った姿勢が保てるのか
  • 両足で立っていることができるのか
  • 歩行できるのか
  • 椅子などから立ち上がれるのか
  • 片足で立つことができるのか
  • お風呂場で身体を洗えるのか
  • つめ切りができるのか
  • 視力、聴力の確認

2.生活機能

日常生活で行う動作などの生活活動状況について確認します。

{調査項目}

  • 乗り移りの動作ができるのか
    (ベッドから車椅子へなど)
  • 食べ物など飲み込めるのか
  • 食事を自分で摂ることができるのか
  • 排尿・排便ができるのか
    (下着をおろす行為から下着を上げる)
  • 歯磨きができるのか
  • 洗顔ができるのか
  • 整髪ができるのか
  • 衣類の着脱ができるのか
  • 外出の機会の頻度はどれくらいか

3.認知機能

意思の伝達、短期記憶、場所の理解などの認知機能を確認します。

(調査項目)

  • 意思の伝達ができるのか
  • 毎日の日課を理解しているのか
  • 生年月日や年齢が答えられるのか
  • 面接調査の直前に何をしていたか思い出せるのか
  • 自分の名前が答えられるのか
  • 今の季節を理解しているのか
  • 自分がいる場所を理解して答えられるのか
  • 目的もなく動き回ることをしてしまうのか(家の中や外)
  • 外出して戻れないことがあるのか

4.精神・行動障害

精神症状や普段の日常行動について確認します。

{調査項目}

  • 物を盗られなどの被害的な行動があるのか
  • 事実とは異なる話をすることがあるのか
  • 感情の不安定さがあるのか
  • しつこく同じ話をすることがあるのか
  • 大声を出すことがあるのか
  • 介護に手を払ったりする抵抗することがあるのか
  • 落ち着きがない行動があるのか
  • 目が離せないことがあるのか
  • ものを集めたり、無断で持ってくることがあるのか
  • 物や衣類を壊すことがあるのか
  • ひどい物忘れがあるのか
  • わけもなく独り言や独り笑いをするのか
  • 自分勝手な行動をすることはあるのか
  • 話がまとまらず、会話にならないことがあるのか

5.社会生活への適応

社会生活への適応について確認します。

{調査項目}

  • 薬の内服ができるのか
  • 金銭管理はできるのか
  • 日常で意思決定ができるのか
  • 集団への不適応があるのか
  • 買い物ができるのか
  • 「簡単な調理」など手を加える事が出来るのか

6.特別な医療

過去14日間に受けた特別な医療行為の有無の確認です。
「特別な医療」とは医師、または医師の指示に基づいて看護師などが行う医療行為にあたります。

なお、継続して実施されている特別医療のみが対象となります。よって、処置が終了して完治している場合については、調査日から遡って過去14日間の間に処置をしていても、継続しているとはみなされません。

「特別な医療」には、下記の12項目です。

  1. 点滴の管理
  2. 中心静脈栄養
  3. 透析
  4. ストーマ(人工肛門)の処置
  5. 酸素療法
  6. レスピレーター(人工呼吸器)
  7. 気管切開の処置
  8. 疼痛の看護
  9. 経管栄養
  10. モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和等)
  11. 褥瘡(じょくそう)の処置
  12. カテーテル(コンドームカテーテル、留置カテーテル、ウロストーマ等)

 

出典:厚生労働省「要介護認定 認定調査員テキスト2009年版(改定H30年)」

 

概況調査

利用中のサービスの状況と自宅での生活状態および状況、ご家族・家庭環境などを確認します。
なお、利用中のサービス状況については、調査時に介護サービスを利用している人のみに対する質問です。この場合、ケアマネから毎月渡されている介護サービス利用票をおみせ下さい。ケアプランより的確に把握してもらえます。

介護認定調査員はどんな人?

介護認定調査員とは、本人及びその家族から要介護度認定の判定に必要な日常生活や状況に即した情報の聞き取り調査を行います。その内容を調査票にまとめます。
介護認定調査員が作成する調査票の内容は、調査する高齢者の要介護度の決定にとても大きく影響し今後の介護生活を左右します。なので、非常に重要な役割を担っている業務です。

介護認定調査を実施するのは、原則的に市区町村の職員です。
しかし、職員だけで対応しきれないので、行政から委託を受けた受託法人と契約を結んでいます。
介護支援専門員や医療・福祉に関する専門的な資格を持ち、介護認定調査員として必要な専門的な研修をうけて訪問します。

「介護認定調査」そのあとは?

「介護認定調査」そのあとは流れについて解説していきます。

  1. 審査
  2. 判定
  3. 認定

介護認定調査員の調査票が市区町村へ届けられます。
一方で、主治医からの主治医意見書も届けられます。

では順に審査から説明します。

審査・判定(一次判定と二次判定)

一次判定、介護認定調査で聞き取られチェックされた調査内容、主治医の意見書とあわせてコンピューターにかけられ判定を行います。一次判定といいます。

二次判定、市区町村にある「介護認定審査会」が一次判定のデータ内容について必要なチェックされている事項と特記事項の内容を精査して、要支援・要介護度が決定されます。二次判定といいます。

認定結果(郵送)

市区町村にある、介護認定審査会の判定結果をもとに要支援・要介護認定をだします。そのあと、判定結果を申請者へ通知します。審査会が終わり速やかに通知が発送されます。

3通り認定結果

  1. 非該当
  2. 要支援1・2(いくばくかの日常生活の支援が必要な状態)
  3. 要介護1・2・3・4・5(日常生活全般で、介護が必要な状態)

通常は申請日から30日程度で認定結果通知書と認定結果が記載された被保険者証が申請者へ郵送されます。決定通知が期間から送れる場合などは、事前に通知がきます。

認定調査後“心のフォロー”

ご家族が立ち会った場合
認定調査員が立ち去ったあと、高齢者の心のフォローをお願い致します。
はじめての人・元気な人(元気そうな人)は、まだまだ自宅で頑張れるぞ!と思っています。

しかし、認定調査ではある意味、日常生活に対してダメだしのように感じてしまうような方々も多いです。
また、その時にガンバちゃう高齢者も見受けられます。

実際、認定調査員側も人の子です。対象者の自尊心を傷つけるような内容で聞きづらいことだってあります。

なので、対象者に“心のフォロー”をお願いします。
「おつかれさまでした」の一言だけでもいいです。

まとめ

介護認定調査は要介護度の評価において極めて重要です。調査結果は介護サービスや支援の要介護度がほぼ決定的になります。なので正確な情報提供が必要です。
ですので、ご家族の協力がスムーズになります。

介護認定調査には家族も同席した場合、困っていることなども遠慮なく伝えてください。
適切な介護認定を受けていただき、本人はモチロンのことご家族がより良い生活を送れるようにしましょうね。

この記事を参考にして、安心して調査を受けていただければ幸いです。