介護両立支援制度

「中小企業」の【介護と仕事の両立支援制度】とは?

 

超高齢化社会・少子高齢化により労働人口が減少している中で、企業が成長を続けていくためには、従業員が安心して働ける環境づくりが重要となってきます。
人口の推移から、既に仕事と介護の両立ができる体制を整える必要がせまっています。

政府は両立支援を重要視していました。2023年の企業アンケート実態結果から危機感がつよくなりました。今後より一層、中小企業にたいし両立支援プラン導入や支援への、様々な目標を掲げて取り組みを推進していきます。

介護離職の現状に触れながら、仕事と介護の両立支援のポイントについて紹介します。

介護離職支援の背景と現状

2023年、「介護・看護」を離職理由にする人は10万人を超えました。2017年は9万人、2007年から比べると年間5万から2倍に増加しています。

今後も仕事をしながら介護をするビジネスパーソンは増えていきます。深刻な人材不足を抱え込ないためにも、企業側による仕事と介護の両立支援の導入と環境、支援の充実が必要になってきています。

中小企業「介護両立支援制度」メリット

従業員にたいし仕事と介護が両立しやすい環境を整えることは、中小企業にとっては資金や時間などのコスト的に負担が大きいように思えます。しかし、従業員が仕事をしながら介護支援という支援制度は企業にとって必ずメリットをもたらします。

1,従業員のモチベーションアップ

安心して、仕事しながら介護ができる環境があれば、従業員のモチベーションアップにもつながります。実際のケースでは、結果として生産性の向上・収益・売上アップなど影響を与えています。

2,ベテラン世代の介護離職防止

仕事と介護の両立に悩み抱え込んでいる多くの人は、仕事上ではベテラン従業員です。2023年調査では既に40~50代への層となっています。仕事と介護の両立支援制度を充実させることで、安心して働ける職場環境つくりは介護離職防止につながります。

3,人材の定着・人材の確保

時間の差こそあれ必ず誰しもが直面する介護問題です。今は介護に携わっていない同僚・同世代の従業員や若い世代の従業員も介護する程度の差はあれ身近な問題になってしまいます。
会社も支援していると思えば、従業員は安心して働き続けられます。人材の定着率が高まれば、働きやすい企業として認知され、口コミや転職先としても選ばれやすくなります。優秀な人材を採用しやすくなることも期待がもてます。

中小企業における両立支援制度について

仕事と介護の両立支援制度を導入・改善するためには、どのようにすれば良いのでしょうか。そのポイントについては、厚労省による“介護と仕事の両立支援制度“コンプライアンスやテキストは、あくまでも基本となるべき指針になっています。参考になりますのでお使いください。

とはいうもの、実際、あなたの企業に導入し運用するためには、勤務実態・風土・社風などにあった制度設計をすることをお勧めします。そして1番大切な事について

導入についてあたり、1番大切な事。


アンケートからの仕事と介護両立セミナーです!

そのセミナーでは、実際現場で起こっていて対処・対応・対策をしてきた人のセミナーです。ローモデルを中心に重ねながら行うことが重要です。そうすれば従業員はイメージが付きやすくシンプルに行動ができるようになります。

以下については、一般的な流れを書きましたのでご紹介いたします。

 

1. 従業員の介護と仕事の両立に関する実態把握

まず必要なのは、自社の従業員が抱えるニーズを把握すること。従業員にアンケートなどで、仕事と介護の両立に不安、問題、悩みを感じていたりするのかを把握します。自由な回答で忌憚なく行いようにします。次に、従業員に周知します。就業規則に規定されている場合は、従業員に周知されているのかを確認します。従業員のニーズに対応への確認作業になります。

2. 仕事と介護の両立支援制度の【見直し】と【可視化】

すでに仕事と介護の両立支援制度を規定されている場合、アンケート結果から再度課題を洗い出し自社で採用している制度を見直します。法律で定められた基準を満たしていない場合もあります。というのは改定されるからです。その場合は再度改善の必要があります。

まだ現時点で仕事と介護の両立支援制度がない場合、育児・介護休業法(育介法)に定められた「介護休業制度」「介護休暇制度」「短時間勤務制度」などを整え就業規則に明記します。そのあと従業員が介護の相談する窓口を明確にしておきましょう。

3. 使える正しい情報提供を行う

自社で仕事と介護の両立支援制度を設定しつくったとしても、従業員が活用できなければ意味がありません。厚労省などの介護離職者アンケートによると、すでに制度がある企業の場合でも、従業員は「制度があることを知らなかった」「具体的な利用方法はわからない」との回答あります。従業員への周知に力を入れることがポイントです。

例えば、パンフレットや社内ニュースなどで伝えておく。実際の在宅介護現場で対応されている専門職のセミナーを行うなども正しい情報を入手するには有効な手段です。
ある日突然、介護を行う必要に迫られたときに、スムーズに制度を利用してもらえるようにしておきまます。

4. 介護に直面した従業員への支援を行う

相談窓口の担当者が従業員から仕事と介護相談を受けたときに整理すべきこと。
問題(状態)の把握から、就業規則にのっとって企業が対応できること。家族での話し合いなど確認。次に専門職への相談先のチョイスと相談すべき内容を整理し的確で早く解決できる相談先を案内する。
尚、企業として支援できる働き方を提案してください。

もし、従業員が社内では相談しにくいということであれば、外部の介護専門企業などに相談できるように手配する方法もあります。

5. 制度を利用しやすい雰囲気をつくる

相談に来られた従業員に対し「仕事を続けながら介護もできる」というメッセージを明確に伝えてください。ほとんどのケースは、従業員側に権利があっても「会社に迷惑をかけてしまう」と思っています。

両立支援制度を利用することを「ダメ」「迷惑」「悪い」などと思わせない雰囲気づくりの対応が今後企業価値を高めるには非常に大切になってきます。

 

企業への両立支援助成金

 

厚生労働省では中小企業へ“両立支援制度整備”の導入を推進しているため、「介護離職防止支援コース」を設けています。

対象となるのは、策定した介護支援プランにもとづいて、労働者への職場環境整、介護支援における柔軟な職場勤務体系や円滑に取得できるような介護休暇・介護休業・職場復帰など、取り組んだ中小企業事業主にたいして、実際に従業員の利用があった場合に支給されます。

ここで注意して頂きたいのは、申請するにあたり申請前に“やるべきこと”と“手順”があり必要な“書類”を整備し準備しておかなければなりません。 例えば、就業規則(前後)、両立支援を周知した日付確認、雇用契約書、出勤簿などがあります。

では、簡単に「介護離職防止支援コース」での条件を満たした場合の助成金を紹介します。

 

介護離職防止支援コース助成金ついて

 

・介護休業:労働者が介護休業を合計5日以上取得したあと復帰した場合

・介護両立支援制度:介護のための柔軟な勤務形態の制度を導入、従業員が合計20日以上利用した場合

例えば、介護支援プランを策定し、対象労働者に合計5日以上の介護休業を取得させた事業主には、従業員の介護休業取得時と復帰時に、それぞれ28万5,000円支給されます。なお、3年前の生産性よりも6%以上伸びていれば、労働生産性(注1)の向上要件を満たしたとして、支給額はそれぞれ36万円です。

注1:労働生産性の計算は、「生産性要件算定シート」に人件費、減価償却費、動産・不動産賃借料、租税公課、営業利益を入力することで計算できるようになっています。

 

両立支援制度の環境整備は企業の成長へ

中小企業に限らず、企業が成長を続けていくためには、従業員が安心して働ける環境の整備が不可欠です。仕事の介護の両立支援の充実は、中小企業にとり定着するまで負担になるかもしれません。しかし、時代の変化に対しては、人材の定着や採用面での確保、従業員の働く意欲の向上、エンゲージメント向上、業績の向上、社内トラブルの回避など、将来的にみれば企業価値向上という、さまざまなメリットがあります。

両立支援制度の充実に力を入れ、従業員のニーズに応えた仕事のパフォーマンスを落とさず介護支援をする環境を整えてみてくださいね。

仕事のパフォーマンスを落とさず介護